電気風呂は安全なのか
土地柄よく銭湯が多い地域で、中には浴槽をいくつも備えている「スーパー銭湯」なるものもある。
スーパー銭湯も好きでよく利用しているが、サウナやちょっと変わった風呂などは利用しても、唯一入ったことの無い風呂がある。
電気風呂だ。
こう、電気を生業としてきたものにとって、能動的に体内に電気を流すことがどれほど気持ち悪いものかは、同じ立場の人だったらわかってもらえるかもしれない。
電気は目に見えないし、光の速さで襲ってくるし、第一よくわからないことが多すぎるのである。
しかしながら、使わず嫌いで使わないのも嫌なので、
電気風呂についてその安全性についてどのように考えられているのか、
興味本位で調べてみた。
<電気設備に関する技術基準を定める省令及びその解釈>
調べてみてまず驚いたことは、電気設備技術基準に電気風呂のことが書かれていたこと。
省令には、「電気浴器」として記載があります。
第七十七条 電気浴器[略]は、第五十九条の規定にかかわらず、感電による人体への危害又は火災のおそれがない場合に限り、施設することができる。
なお、第五十九条は
第五十九条 電気使用場所に施設する電気機械器具は、充電部の露出がなく、かつ、人体に危害を及ぼし、又は火災が発生するおそれがある発熱がないように施設しなければならない。ただし、電気機械器具を使用するために充電部の露出又は発熱体の施設が必要不可欠である場合であって、感電その他人体に危害を及ぼし、又は火災が発生するおそれがないように施設する場合は、この限りでない。
と書かれており、つまりは
「第五十九条で『充電部は出しちゃダメよ』、と書いてるけど、電気風呂は充電部出さないとどうにもならんから、感電とかに気をつければつけていいよ」ってことですね。
そこまでして電気風呂に入りたかったのか、とも思いますが、これはこれで立派な文化なのでしょうね。
さて、電気設備技術基準に記載があれば、解釈にその具体的な方策が書いてあるのでしょう。
電技解釈の方を調べてみました。
第198条 電気浴器は、次の各号によること。
一 電気浴器の電源は、電気用品安全法の適用を受ける電気浴器用電源装置(内蔵されている電源変圧器の2次側電路の使用電圧が10V以下のものに限る。)であること。
二 電気浴器用電源装置の金属製外箱及び電線を収める金属管には、D種接地工事を施すこと。(関連省令第10条、第11条)
三 電気浴器用電源装置は、浴室以外の乾燥した場所であって、取扱者以外の者が容易に触れない箇所に施設すること。
四 浴槽内の電極間の距離は、1m以上であること。
五 浴槽内の電極は、人が容易に触れるおそれがないように施設すること。
六 電気浴器用電源装置から浴槽内の電極までの配線は、次のいずれかにより施設すること。ただし、電気浴器用電源装置から浴槽に至る配線を乾燥した場所であって、展開した場所に施設する場合は、この限りでない。
(関連省令第56条第1項、第57条第1項)
イ 直径1.6mm以上の軟銅線と同等以上の強さ及び太さの絶縁電線(屋外用ビニル絶縁電線を除く。)若しくはケーブル又は断面積が1.25mm2以上のキャブタイヤケーブルを使用し、合成樹脂管工事、金属管工事又はケーブル工事により施設すること。
ロ 断面積が1.25mm2以上のキャブタイヤコードを合成樹脂管(厚さ2mm未満の合成樹脂製電線管及びCD管を除く。)又は金属管の内部に収めて、管を造営材に堅ろうに取り付けること。
七 電気浴器用電源装置から浴槽内の電極までの電線相互間及び電線と大地との間の絶縁抵抗値は、0.1MΩ以上であること。
色々とある安全基準はさておき、浴槽内で10V、1mはどうなのか考えてみます。
浴槽がおよそ湯で満たされており、深さが40cm、奥行き100cmとすると
水道水の導電率は100~200μS/cmであるから、電極間の抵抗値は、
R=100cm÷(100μS/cm)÷(40cm✕100cm)=250Ω
なお、人体の内部抵抗値は500Ωとすると、オームの法則から
全電流 :10V÷(250Ω✕500Ω/(250Ω+500Ω))=60mA
湯 を流れる電流:60mA✕(500Ω✕(250Ω+500Ω))=40mA
人体を流れる電流:60mA✕(250Ω✕(250Ω+500Ω))=20mA
さて、この電流がどの程度のものでしょうか。
元記事を参照します。
あれ、案外危なくないっすか。。。。
まぁ、使用電圧が10Vでなかったり、電極間距離がもっと広かったり、
普通大浴場は広いのでより湯のほうに電流が流れるのでしょう。
しかしながら、電気風呂、
やはりまだ足が遠ざかりそうです。。。